国際人を育てる

「やりたいこと」と「しなければいけないこと」2016年3月アッセンブリーより


今日は「やりたいこと」と「しなければいけないこと」の話をします。

いつも言っているように、やりたいことを持ち、それをすることはとても大切なことです。でも、やりたいことだけをしているのは、積み木を細く高く積み上げるようなもので、倒れやすく結局あまり高く積み上げることはできません。積み木を安定して高く積み上げるためには、土台を幅広くしっかりと作らなければなりません。

「しなければならないこと」をすることとは、皆さんの場合は小学生ですから、学校の授業をしっかり受けること、勉強すること、家での役割をしっかり果たすことです。

勉強ができるようになりなさいと言っているわけではありません。勉強をすることは大切ですが、出来たかできなかったか、点数が良かったか悪かったかよりも、全力で取り組んだかどうかの方が大切です。全力で取り組んだことは自分の身になるからです。98パーセントの力を出してもそれはあまり身になりません。「だいたいこのくらいでいいか」という気持ちではダメなのです。力を出し尽くすことが重要です。

もう一つ大切なことは、人に頼まれたことをすることです。自分でやりたいことを探しても、あまり多くのことをすることは出来ません。でも人に頼まれたことをすると、自分の知らなかったことを知ったり、知らない場所に行ったり、初めてすることがあったり、新しい発見がたくさんあります。

そうやって自分の幅を広げていくことが大切です。

今日は「やりたいことを持つ」に加えて自分の幅を広げるために必要なことを話しました。

 

3年生の感想を紹介します。

assenbly感想


3月 8th, 2016|

12月アッセンブリー「やり抜く力」


学校で身につく力には、学力や記憶力のようにテストの点数に表せるものの他に、思いやり、やり抜く力、信頼、セルフコントロール、セルフエスティームなどの力があります。

今こうして話を聞くためにじっと座っているのも自制心(セルフコントロール)が必要ですね。友達から信頼されることや、自分自身を好きでいること、自分が大切な存在だと思えるセルフエスティームも生きていう上で大切な力です。勉強のように点数にならないけれども大切な力がたくさんあるのです。

その中で今日は「やり抜く力」の話を中心にします。「TED」といって世界の人が世の中に役に立つプレゼンテーションをしている組織があります。You-tubeでそのプレゼンテーションを見ることができます。英語でのプレゼンテーションが多いので高学年の人はぜひ見てみるといいでしょう。

 

そのTEDでペンシルベニア大学のワーズワース教授が「やり抜く力」の話をしています。英語ではgritと言っています。Grit : passion and perseverance for long-term goalsと説明しています。目的に向かってやり続ける力です。世の中で活躍している人はこの力がある人が多いといっています。

私は小学校3年生の時に島民が全て避難してしまった島に一人残り、嵐の中で一人気象観測を続ける人の姿を映画で見て、そんな仕事をしたいと思いました。そして中学を卒業するまで6年間以上毎日百葉箱に通い気象観測をし、家に帰ってラジオで気象通報を聞いて天気図を書くことを続けました。

今思えば気象のことが本当に分かっていたわけでもなく、ただ続けていたように思いますが、その続けられたことが一つの力だったのだと感じています。

そしてもう一つ私のことを言えば、「諦めない力」があるように思います。何かものが無くなって、皆で探したけれど見つからない。みんなが諦めようとする頃、私は自分の出番だと思っていました。他の人が無理と言えば、「それなら自分がやってみよう」と思うことがありました。

「続ける力」や「諦めない力」これは生きていく上でとても役に立つ力です。

皆さんの中にも点数にはならないいろいろな力があります。また、今はなくても力をつけていくことができます。

私は皆さんを見るときにどんな力があるのかな、どんな力がついているのかなと見ています。

 

最後に逆上がりの話をします。

逆上がりを習って「すぐにできる子」もいれば「一生懸命練習してできるようになる子」もいます。そして「一生懸命練習してもできない、でも練習を続けている子」もいます。そうですね、どの子も素晴らしいのです。出来る、出来ないとか点数が良いとか悪いとかではなく、一生懸命やること、続けることが宝なのです。

 

Dreams Begin Here!


12月 2nd, 2015|

11月のアッセンブリー「経験を増やして豊かに生きよう」


シナプスのイラストがスクリーンに映っていますが、シナプスはどこにあるか知っていますか? そう、脳ですね。 人間はどんな環境に生まれても生きられるようなシナプスの回路を持って生まれてきます。生まれて1年前後がシナプスの結びつきは最大になり、その後は必要のない回路が消えてなくなり、必要な結びつきが出来ていきます。

「言語」でいえば、どこの国に生まれてもそこの言葉を聞き分ける能力を持って生まれてきますが、使わない言語を聞き分ける回路はだんだんなくなり、使わない音声の聞き分けが難しくなります。

LCA国際小学校の皆さんは日本語と英語の聞き分けができていますね。校長先生は大人になってから英語を勉強したので、英語の音の聞き分けには大変苦労をしています。

このシナプスの回路は経験をすることで増えていきます。五感を使ったり考えたりすると回路が増えていきます。

LCAのAはactivities のAです。副校長のMr.Martinezがactivitiesを日本語訳すときは「経験」と訳しています。皆さんにいろいろな経験をしてほしいという願いを込めたAです。

シナプスの回路を増やし、いろいろなことを考えたり、アイディアを出したりできるようになってほしいです。

10年後にはコンピューターもロボットもさらに進化し、今人間のしている仕事をするようになります。ホテルの接客までロボットがするようになるそうです。人間は人間にしかできないことをしっかり考えて身につけていかないと、仕事がなくなってしまうような世の中になる可能性があるのです。

コミュニケーションをしっかり取ったり、ゼロから何かを生み出したりするようなことはコンピューターやロボットは苦手かもしれません。

いつも何か刺激を受けるように新しいことに挑戦し、ロボットやコンピューターが進化した世の中でも、人間らしく豊かに生きられるようにしたいですね。


11月 11th, 2015|

思いを行動にうつす


10月のアッセンブリー

 

今の6年生が1年生の時に東日本大震災が起きました。地震と津波で大きな被害がでました。翌年2年生になった子どもたちの数人が、「被災者のために何かしたい」と校長室に話しに来ました。

本人たちのアイディアはペットボトルキャップを集めて、集まった費用を東北に送るというものでした。とても立派な志だと思いました。

ただ、ペットボトルキャップを集めて得たお金がどのように役に立つのかが曖昧であるこが気になりました。また、相手の顔が見えない中で、「何か良いことをした」という気持ちだけが優先してしまうことも懸念されました。

糸口を探そうと、知り合いから東北の学校を紹介してもらい、宮城県の中浜小学校を訪ねました。校舎は津波の被害で使える状態ではなく近くの坂元小学校の教室を利用している状態でした。

校長先生に「LCAの子どもたちが出来ることは何か」と率直に尋ねたところ「ぜひ、この場所に立って感じて欲しい」という答えが返ってきました。

LCAに戻りその言葉を子どもたちに伝え、話し合い、是非東北に行きたいということになりました。行った時に何をするか話し合ったところ「自分たちは英語で歌って踊れるのでそれを使って交流できないか」ということになりました。

歌を決めダンスの振り付けをし、坂元小学校を訪ねました。

計画した通り英語の歌を一緒に歌い、休み時間に一緒に遊び、被災した校舎を案内してもらい、様々な貴重な思いを持って帰ってきました。

翌年の夏休みには坂元小学校の希望者を長野のLCAセミナーハウスに招き一緒にキャンプをしました。

今年はこの企画を発案した子どもたちが6年生になっているということもあり、LCAの子どもたちのビデオメッセージを届けに私と副校長で坂元小学校を訪ね、坂元小学校の子どもたちのメッセージをお土産にもらってきました。

そして、来週は当時の中浜小学校(被災した学校)の校長先生がLCA国際小学校にいらっしゃいます。

被災した当時の話は命の守り方に役に立つ話が聞けると思います。皆さんの思いがこのような形に発展してきたのです。

 

もし、皆さんが「何かしたい」と校長室に来ていなければ、私が東北に行くこともなかったし、当時の中浜小学校の校長先生がLCA国際小学校にいらっしゃることもなかったでしょう。

何かを真剣に思い、そして思いを行動に移したから、周りの人の行動がそれによって変わり、生まれたのです。

世の中は「ある」ものではなく「作っていくもの」です。皆さんが何かを思いそれを行動にうつすことで、世の中は良くなっていくことができます。

私は思いを行動に移し実現してきたLCAの子どもたちをとても誇りに思っています。この企画をした今の6年生は来年の3月に卒業してしまいますが、1年生から5年生も先輩を見習い、人のために思い、行動できるようになって欲しいと思います。

LCA国際小学校はそれができる学校だと思っています。


10月 7th, 2015|

2015年9月校長アッセンブリー(挨拶・自己紹介・レディーファースト)


いつも始まりの時期に校長先生が必ず言うことがあります。そうです。挨拶ですね。 挨拶は相手の人が気持ち良く聞けることが大切です。「挨拶してもらって良かった。とっても気持ちがいい」と感じてもらえるといいですね。

 

いい機会ですので自己紹介の話をします。自己紹介は自分を覚えてもらい、アピールする絶好のチャンスです。でも、自己紹介がうまく出来ていない人を多く見かけます。せっかく名前を言っているのに聞き取れないのです。それは、いきなり名前を言ってしまい、聞く方の人が聞く準備ができていないからです。ひどい場合は立ち上がりながら名前を言っている人もいます。きちんと立ち上がり、一呼吸置いてから名前を言う、私の名前は・・などと前置きをするなどの工夫が必要です。

 

次はマナーの話をします。昨日のジョブフェアーでダンスのレッスンがありましたが、男女で手をつないでと言われた時、照れて手をつなげませんでした。LCAでダンスのレッスンを取り入れているのは、ダンスが踊れるようになるということの他に、世界で通用するマナーを身につけて欲しいという願いがあります。「手をつなぎましょう!」と言われたら、普通に手をつなげるようになって欲しいです。

みなさんが将来、外交官や大使になったり、または国連で働くことになったり仕事で海外に出かけた時など、国際的な場所に行く機会があると思いますが、その場で必要なマナーがあります。レディーファーストもその一つです。

皆さんはレディーファーストという言葉を知っていますか?

エレベーターやエスカレーターに乗る時、そばに女性がいたら女性を優先して笑顔で「お先に」と手で合図します。レストランでテーブルに着く時も、自分が真っ先に座ってはいけません。係の人が椅子を引いたら女性が先に座り、それを待って男性が座ります。

男女平等が言われる時代で、いろいろな意見がありますが、校長先生は、レディーファーストは素敵なマナーだと思っています。

電車の中でも席が空いたら、真っ先に自分が座るのではなく、周りに女性やお年寄りがいれば「どうぞ!」と譲るのがマナーです。例え自分がどんなに疲れていても、それが出来る人はやはり素敵です。皆さんと一緒にそんな人を目指していきたいですね。

今日は挨拶の話、自己紹介、レディーファーストの話をしました。校長先生の伝えたいことは伝わりましたでしょうか。

 

Dreams Begin Here!

We are LCA!


9月 4th, 2015|

チョン・キョンファさんのコンサートにて


4月26日の土曜日に相模原市民会館で世界的なヴァイオリニスト、チョンキョンファさんのコンサートが行われました。LCAの子供たちはこのコンサートに招待され、芸術家と直接交流する機会もいただきました。

コンサートの二週間前にお話をいただき、急きょ保護者に連絡を取りました。時間的に余裕がなかったにもかかわらず、

100名以上の子ども達・保護者が集まりました。

このような文化的な価値をすぐに理解していただけるご家庭のお子さんをお預かりしていることに誇りを感じます。

そして、有名な芸術家と英語でコミュニケーションをとっているLCAの子供たちの姿をみてLCAらしさを感じるひと時でした。

このような機会のために奔走してくださった方々に改めて感謝いたします。


4月 27th, 2015|

教員研修(学級経営)


春休みに市の教員のOGの方を招いて「学級経営」の研修をしました。

学級経営」という考え方は日本の教育独特のもののようです。海外では授業(教科)を教えるのが自分の仕事と考えている教師が多くいます。躾は家庭の問題として家庭に任せ、何かメンタルな問題があればカウンセラーに託すという感じです。日本の教育では担任がかなり関わりますね。

私は教師が子どもの生活に深く関わる「学級経営」の考え方は日本の教育の良いところだと思っています。

LCAの外国人教師は教育委員会主催の研修では言葉の問題もあり参加が難しかったのですが、講師を招いてバイリンガルの職員が通訳をしながらの研修という方法にたどり着き、実現しました。


4月 11th, 2015|

「巨大な夢をかなえる方法」を読んで


「巨大な夢をかなえる方法」という本が出版された。

世界を変えた起業家、投資家、教育者、俳優などが、イェール、MITなど一流大学の卒業生へ熱く語りかけた卒業式でのスピーチを集めたものだ。

 

最初はアマゾン・ドット・コムの創設者ジェフ・ベゾス。

 

祖父とキャンピングカーで出かけた時、祖父から「It’s harder to be kind than clever」(自分が賢くなることよりも、人に優しくすることの方が難しいのだよ)と言われたエピソードから始め、次のように結んだ。

 

Will inertia be your guide, or will you follow your passions?

惰性で人生を生きますか?それとも本当に好きなことをやりますか?

 

Will you follow dogma, or will you be original?

世の中の常識に従いますか?それとも独創的な人間になりますか?

 

Will you choose a life of ease, or a life of service and adventure?

楽な人生を選びますか?リスクを取り世界に貢献する人生を選びますか?

 

Will you wilt under criticism, or will you follow your convictions?

批判に屈しますか?それとも、自分の信念に従いますか?

 

Will you bluff it out when you’re wrong, […]


4月 5th, 2015|

Google社が求める人材「スマート・クリエイティブ」


グーグル社会長、前CEOのエリック・シュミット氏のインタビュー

グーグル社が求める「スマート・クリエイティブ」とはどんな人材なのか?

《English Journal 4月号より》

「 In the book, we’ve spent a fair amount of time saying the way you should hire people is about the person, not about the knowledge that they have.

私たちが探しているのはその人が持っている知識ではなく「人」なのです。

Hire general-purpose, smart people, rather than specific people with a lot of specific domain experience. Because really smart person will figure it out, and they’ll […]


3月 28th, 2015|

藤原正彦氏講演会「日本再生への道」


藤原正彦氏の「日本再生への道」と題する講演を聞いてきた。

 

日本再生の鍵は日本人が本来持っている「人間性」を再認識し磨くことだという内容だった。

冷戦時代は資本主義の成功者としてアメリカは日本の味方だったが、冷戦終結後は経済的な敵とみている。1990年代後半からの様々な改革は日本人が本来持っていた強みを無くすためのアメリカの政策だと考えると辻褄が合うのだという。

東日本大震災後の日本人の行動は世界から賞賛されるものがあった。それは世界が驚き恐る日本人の強みであるのだ。この強み「人間性」を意識し、磨いていくことが大切なのだ。

人間性の要素は ①教養 ②(人間としての)型 ③情緒だという。

「教養」は経験から学ぶのが良いが、経験には限界があるので読書で補う必要がある。読書を通して過去の賢人と会話をすることもできれば、人の様々な気持ちも感じることができる。

 

「型」とは正義感や勇気、惻隠などを理屈でなく体に染み込ませること。

「情緒」とは美的感受性を磨くことである。虫の声や短期間に美しく咲きサッと散る桜に儚さを感じられるのは日本人の特権である。自然や音楽、美術を通してこの情緒を磨くことが人間性を高めることにつながる。

 

この三つの要素を意識しみがくことで人間性を高めることこそ日本再生への道である。

 

「人間として素晴らしく魅力があることが国際人としての第一歩である」「日本人が持っている自然を恐れ敬い自然と共に生きる生き方を世界に広めることが日本人のするべきことである」ということも印象的であった。

小学校時代の教育に関しては「自ら本に手を伸ばす子」さえ育てられればそれで良い」と言っていた。


3月 23rd, 2015|