ラ・フォンテーヌの寓話に「ワシとイノシシとネコ」という話がある。

 

森の中に一本のカシの古木があって、三つの空洞には、いちばん上にワシ、真ん中にネコ、いちばん下にイノシシが、それぞれテリトリーを分けて一家を構え、平和共存していた。

ところが、ある時、ネコが邪心を起こして古木を独り占めしようと考え、不埒な考えをワシとイノシシに別々に吹き込んだ。

すなわち、ネコはまずワシの母親のところに行き、イノシシが悪だくみをしているから気をつけろと、こんな風なことを忠告した。

「あんた知ってるの?下のほうで、あのイノシシの奴が土をほじくり返して穴を掘っているのを。たぶん、このカシの木を根もとから倒すつもりなんだわ。木が倒れれば、わたしも子どもたちもみんな死んでしまうのよ。あいつの餌になるってことだわ。子どもが死んだら、あなたどうするの?わたしなら生きてはいけないわ」

こうしてワシの母親を不安に陥れたあと、ネコはまっすぐにイノシシの母親のところに飛んでいった。母親は子どもを産まんばかりだった。

ネコは声をひそめて囁いた。

「あなたのためを思って教えておくわ。この木の上にワシの一家がすんでいるでしょ。そのワシがあなたの赤ちゃんを狙っているのよ。あなたが餌を探しに外に出たすきに、赤ちゃんをさらっていこうとしているのよ。いいこと、この知らせは誰にもしゃべらないでね。でないと、ワシから恨まれるから」

 

こうしてネコは両方の家に恐怖を振りまいてから、ニンマリとして自分の家に戻っていった。いっぽう、ワシとイノシシは留守の間に子どもがさらわれてしまうかもしれないと思い、餌をとりに外に出かけることができなくなった。

そのために餌のストックが尽き、飢えで子どもたちは死んでしまった。

そして、悲しみのあまり母親たちも死んだ。おかげで、ネコは両方の家を自分のものにすることができ、悠々と暮らし、子孫も繁栄したとさ。

 

この寓話のようなことは、身の回りでよく起こっていませんか?

日本式の教育では「ネコのようなことをしてはいけません」となるが、フランス式では、ネコのような人がいるので、決して騙されてはいけません」となる。

ネコは親切な良い人の顔をしてあなたに近寄ってくるので、ご用心を!